近年、新しい供養の形として手元供養が注目されています。
しかし、手元供養を検討している方の中には、「手元供養って良くないの?」「問題ない?」などの疑問や不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
実際は法的にまったく問題がなく、故人さまを身近に感じられ、気軽に行える供養方法として注目されています。
一方で、手元供養を行う場合は親族の理解を得ることや、保管方法などの注意点を知っておくことも大切です。
この記事では、手元供養が良くないと言われる理由やメリット、注意点を紹介します。
<手元供養とは?>
手元供養とは、自宅や身近な場所に遺骨を保管して供養する方法で、遺骨を身につけられるように加工するケースもあります。
供養といえば、大切な人が亡くなったあとは焼骨して骨壺に遺骨を入れ、四十九日までにお墓に納骨することをイメージする方も多いでしょう。
手元供養は遺骨のほとんどはお墓等に納骨され、手元供養にはごく少量のみ何らかの容器に入れるのが一般的です。ただし、明確な決まりはなく自由なスタイルで行えます。
ここでは、手元供養の方法やお仏壇との違いを解説します。
-手元供養の方法
手元供養は自由度が高い供養の方法であり、骨壺に入れて供養するだけでなく、アクセサリーやインテリアとして供養するケースもあります。
骨壺に入れて手元供養する場合、火葬場で骨上げに使う骨壺はサイズが大きいため、小さめの骨壺を用意して供養することも可能です。
近年では、骨壺のデザインやバリエーションも増えており、一目見ただけでは骨壺とわからないようなものもあります。
また、アクセサリーとして手元供養する場合だと、遺骨や遺灰をペンダントやブレスレットなどに加工して身につける方法もあります。
手元供養は「必ずこのように供養しなければならない」というルールがないため、自分の好きな形で供養できるのが大きな特徴です。
-お仏壇との違い
お仏壇は仏様がいる場所であり、家庭の中の小さなお寺として、ご先祖様を供養する場所としての役割があります。
手元供養は供養の方法であり、形式や揃えるものについて特別なルールはないため、お仏壇がなくても問題ありません。
一方、手元供養では骨壺やアクセサリーなどを置いておく場所としてお仏壇を設置するケースも多く、最近では手元供養専用のお仏壇も誕生しています。
手元供養専用のお仏壇はコンパクトなサイズが多く、従来の仏壇に比べて場所をとらず、少ないスペースで好きな場所に置くことが可能です。
手元供養専用の小さいお仏壇を用意し、骨壺や写真などを置き、手を合わせることで大切な人を身近に感じることもできるでしょう。
<手元供養が良くないと言われる理由>
手元供養は法的にも倫理的にも問題のない供養方法ではあるものの、「良くないのでは?」と実際に言う人もいます。
ここでは、手元供養が良くないと言われている理由を紹介します。
-遺骨を持ち歩く行為が良くないとされている
手元供養が良くないと言われている理由として、遺骨を持ち歩く違法行為だと勘違いされている点が挙げられます。
法律では定められた墓地以外に埋葬してはならないと定められていますが、そもそも手元供養は埋葬にあてはまりません。
そのため、手元で遺骨や遺灰を保管したり、アクセサリーやインテリアに加工したりすることも違法行為にはならないのです。
最近になって生まれた新しい供養方法であり、多くの人に浸透していないことも、違法行為だと勘違いされやすい理由といえるでしょう。
-縁起が悪いと思われている
手元供養は、「故人が成仏できない」「仏教上の問題がある」など、縁起が悪いと感じる方がいる点も良くないと言われる理由です。
しかし、これらの多くは迷信であり、仏教宗派においても故人さまの魂が遺体に留まることはなく、すぐに浄土に生まれ変わると考えられています。
また、故人さまは四十九日で成仏すると捉えられているため、成仏できないことや宗教上でも問題はありません。
そのため、遺骨がお墓に納められていても、自宅で保管されていたとしても、時間が経つと魂はこの世を離れて成仏します。
なお、諸説ありますが、仏教では死後七日目に三途の川のほとりに到着し、最初の裁きを受けてから四十九日まで旅を続けたのち成仏するとされています。
亡くなった時点で、すでに故人さまの魂はあの世に行くための旅を始めていると考えられているため、手元供養にしたからといって魂が遺骨に留まるとは考えにくいでしょう。
-遺骨の加工に抵抗を感じている人がいる
手元供養は、分骨や加工のために遺骨を粉骨するケースがあるため、このような行為に対して抵抗を感じている人もいます。
これは分骨や粉骨を行うと、成仏できなかったり、あの世で五体満足になれなかったりすると考える方がいるためです。
しかし、これらは思い込みや迷信であり、宗教的に見ても問題はなく、むしろ尊いこととされてきました。
例えば、仏教の創始者であるお釈迦様も遺骨を8つに分け、弟子がそれぞれ寺院に配布したという話もあります。
これまで故人さまはお墓に納骨する方法が一般的だったこともあり、遺骨の加工に少なからず抵抗を感じる方もいるでしょう。
<手元供養のメリット>
近年、手元供養が新しい供養の形として注目されているのは、さまざまなメリットがあるためです。ここでは、手元供養のメリットを紹介します。
-故人さまを身近に感じる
手元供養のメリットは、自宅保管をしたり身につけたりすることで、故人さまを身近に感じて自分なりの供養ができる点です。
お墓が遠くにある場合や忙しくてお墓参りができない状況でも、手元供養ならいつでも故人さまが近くにいるように感じます。
また、ペンダントやブレスレットに加工すると、どこかに行ったときも一緒にいるような安心感を得られるでしょう。
お墓と手元供養は同時に行うこともできるため、手元供養をしたからといって埋葬ができないわけではありません。
-保管場所に困らない
手元供養は、骨壺にしてもアクセサリーにしてもコンパクトなものが多いため、保管場所に困らないメリットがあります。
「仏壇を置くスペースがない」という方も、手元供養であれば場所を気にすることなく、いつでも好きなタイミングで供養できます。
また、手元供養品は部屋を飾る装飾品にもなるため、来客があった際にはインテリアに馴染ませると違和感がありません。
例えば、リビングの小さなスペースに洋風でおしゃれな小さい仏壇を置き、祈りの場を作るのもよいでしょう。
さらに、遺骨を骨壺で管理するとカビが生えてしまうこともありますが、手元供養では遺骨をガラスに密閉したり、樹脂で固めたりするため心配ありません。
-宗教的な制約を受けない
手元供養のメリットとして、宗教葬式ではないため、教義のような制約を受けずに自分らしいスタイルで供養できる点が挙げられます。
手元供養は宗教や宗派に関係なく行うことができ、特定の宗教でも無宗教でも問題ありません。
また、正式な仏壇だとお供え物にも配慮が求められますが、手元供養なら生前に故人さまが好きだったものを何でもお供えできます。
もちろん自由に供養ができるため、納骨した手元供養品に対してお経をあげてもらったり、祈ったりもできます。
宗教や従来の常識にとらわれることなく、自身のライフスタイルや考え方に合った供養がしたい方にも最適です。
<手元供養の注意点>
手元供養にはさまざまなメリットがありますが、実際に行う際には注意点もあります。ここでは、手元供養の注意点を紹介します。
-親族の理解を得られない場合がある
手元供養は新しい形の供養であるため、周囲の理解を得られず、場合によってはトラブルに発展するため注意しましょう。
特に年配の方の中には、「縁起が悪い」「違法行為だ」などの誤った思い込みをする人も多く、反対されるケースも少なくありません。
そのような状況下で無理に手元供養を進めようとすると、親族と口論になったり、トラブルに発展したりする可能性もあるでしょう。
手元供養に対して間違った認識で反対される場合は、縁起が悪いものではなく、違法行為でないことも理解してもらう必要があります。
また、遺骨の加工について親族から不快と言われた場合も、近年は遺骨加工が一般的になっていることを伝えるとよいでしょう。
ただし、周囲の理解を得ず強引に手元供養を進めるのはNGで、親族ともしっかり話し合ったうえで供養の形を決めることが大切です。
-紛失のリスクがある
手元供養はコンパクトな形で供養ができるメリットがある一方で、身につけるタイプのものは紛失のリスクがあります。
例えば、遺骨を加工して作ったペンダントなどのアクセサリーをどこかに置き忘れてしまったり、落としてしまったりなどもあるでしょう。
ミニ骨壺のように自宅で保管できるタイプであっても、災害が発生した際には失う可能性があります。
また、骨壺やアクセサリーがどれだけ丈夫に作られていても、大きな衝撃によって破損する場合もあるでしょう。
手元供養を検討している場合は、このようなリスクがあることを十分に把握したうえで、責任を持って保管する必要があります。
-保管場所に気をつける必要がある
手元供養では遺骨にカビが生えるトラブルも発生しやすいため、高温多湿の環境を避け、保管場所には注意しましょう。
カビが生える原因は、火葬したあとの遺骨は乾燥しており、空気中にある湿気を取り込みやすくなっているためです。
特にお風呂場やキッチン周辺、クローゼットなどは湿気が多くカビが生えやすい場所であるため、これらの場所は避ける必要があります。
また、遺骨の保管容器の内と外で温度差が生じる環境だと、結露が発生してカビが生えやすくなるため、冷暖房の近くにも置かないようにしましょう。
遺骨を管理する容器は密閉がしっかりできるものを選ぶと、カビの発生を抑え、さらに結露も生じにくくなります。
<手元供養の流れ>
手元供養は比較的新しい供養の形であるため、どのように手配したらいいかわからないという方もいるでしょう。
ここでは、手元供養の流れを紹介します。
-親族の理解を得る
手元供養を検討する場合は、トラブルを防止するためにも必ず親族の理解を得たうえで行う必要があります。
理解を得ないまま強引に進めると親族間の関係が悪くなるのはもちろん、故人さまも浮かばれないでしょう。
理解を得るための適切な方法は相手によって異なり、宗教上の理由で手元供養を好まない方もいれば、周囲の目を気にする方もいます。
なかには、故人さまの遺骨を手元に残すことで、かえって気持ちの整理ができない場合もあるでしょう。
いずれにしても、自分がなぜ手元供養を希望するのかという理由を明確にし、丁寧に説明する必要があります。
-手元供養の方法を決める
手元供養は遺骨すべてを自身で保管する方法と、墓地や寺院と分骨する方法があるため、どちらにするかを決めましょう。
どちらを選ぶかは供養に対する意識や信仰の違いもあるため、親族とも相談しながら決めていきます。一般的には分骨の形で行われる場合が多いです。
また、分骨するタイミングは火葬が終わって自宅に親族が集まるときで、お骨上げで分骨する場合もあります。
納骨してからの分骨も可能ですが、墓地管理者に了承を得なければならないため注意しましょう。
-手元供養品を準備する
手元供養の方法が決まったら、手元供養品を具体的に決めます。
遺骨をミニ骨壺に納める場合は置き場所を決めておく必要があり、仏壇に置かないのであればインテリアとのバランスも考えて選びましょう。
手元供養品はバリエーションが豊富にあるため、故人さまを思い浮かべながら、親族と相談し合って決めていきます。
注文した供養品が届くまでの間、花立てやおりん、香炉などの供養用品も用意しておきましょう。供養品が届いたら必要に応じて遺骨を納め、他の供養用品と一緒に決めておいた場所に飾ります。
なお、手元供養品を始めるために必要な手続きはなく、仏壇を購入したときに行う開眼供養も不要です。ただし、将来別の場所に納骨する可能性がある場合は、分骨証明書を取得しておきましょう。
<まとめ>
この記事では、手元供養が良くないといわれている理由やメリット、注意点を紹介しました。
手元供養が良くないといわれている理由の多くは迷信や思い込みからくるものであり、法律的にも宗教的にも問題ありません。
故人を身近に感じられたり、費用を抑えられたりなど、メリットも多くある供養方法といえるでしょう。
ただし、親族にはきちんと説明し、許可を得たうえで保管にも注意しながら行っていく必要があります。
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