スコーグスシュルコゴーデンは、自然豊かなスウェーデンの首都ストックホルムの郊外に位置するお墓です。
私たち日本人にとって、墓地という空間はとても厳かで何となく恐怖を感じる人も多いですよね。
しかし、スウェーデンのスコーグスシュルコゴーデンは森の中に溶け込むような美しい墓地のデザインが高く評価され、世界遺産に認定されました。
今回は、世界遺産の墓地スコーグスシュルコゴーデンの特徴や魅力をご紹介いたします。
スコーグスシュルコゴーデンについて
ストックホルム郊外の森の中にある「スコーグスシュルコゴーデン」は、広大な土地を持つ共同墓地です。
1917年から建築がスタートして、1940年までの間に少しずつ工事が進められていき、今もなお改築が少しずつ行われています。
敷地面積は約100ヘクタールと広大で、一見墓地とは思えないような自然豊かな環境のもと、火葬場や葬儀用の礼拝堂、斎場などの施設も備わっており、火葬から埋葬までの一連の儀式をその場所で行うことができます。
お墓の数は現在で約12万を越え、ストックホルムで暮らす多くの方々がこの森に埋葬されてきました。
スウェーデンでは、人は死後に森へと還ると考えられています。
そのため、美しい森林に囲まれた土地に墓地を設け、その土地の地形を活かした自然豊かな森とお墓や施設が共存している墓地をデザインしたのです。
スコーグスシュルコゴーデンが世界遺産に選ばれた理由
世界一美しいお墓、スコーグスシュルコゴーデンが世界遺産に認定されたのは1994年のこと。
世界遺産に認定されたのは、大きく分けて2つの理由が挙げられます。
・墓地と施設の融合性の高さ
単純に広大な土地にお墓が並んでいるわけではなく、まるで一つの芸術品のような卓越したデザインの施設が数多く並んでいます。
眺めているだけでも心を豊かにしてくれる施設の数々を設計したのは、今から50年以上前の20世紀前半のこと。
それにも関わらず、今も全く古さを全く感じさせない時代を超えた美しさは高く評価され、現在日本でもメジャーになってきた公園風の霊園など、世界中の墓地のデザインに多大な影響を与えました。
単純にお墓や施設が並んでいるだけでなく、スウェーデンの「死者は森に還る」という死生観の元、スコーグスシュルコゴーデンには墓地の中に「追憶の丘」という散骨場も設けられています。
丘の中腹で撒かれる遺灰は風に乗って自然に還る仕組みになっているなど、その墓地全体が一つの大きなお墓として考えられているのです。
・遺族への繊細な配慮
土地の美しさだけでなく、利用する遺族たちへの繊細な配慮のすばらしさもスコーグスシュルコゴーデンが世界遺産に認定された理由。
葬儀の数が多いときでも他の遺族たちが顔を合わせることがないように、葬儀の待合室から火葬場、礼拝堂にかけては一方向に向かって進められていきます。
祭壇で故人とお別れを済ませたあとは、地下にある火葬場に棺をリフトで運ぶ構造になっていて、遺族の方々の感情への配慮も徹底されているのです。
大礼拝堂の中は棺を中心に、椅子が円形に設置された劇場のような室内になっていて、参列者全員が棺をしっかりと見ることができ、故人だけでなく遺族の心情も大切にしている設計。
このように、スコーグスシュルコゴーデンは、足を運んだ方々が現実を忘れるような、静かで清らかな時間が流れている墓地です。
<まとめ>
スコーグスシュルコゴーデンは、旅行ツアーも用意されている有名な観光スポットでもあります。
すべて見て回るには数時間必要な広大な土地は、都会の喧騒を忘れさせてくれる不思議な空間です。
パワースポットとしても人気ですので、ぜひ機会があればスコーグスシュルコゴーデンへ足を運んでみてはいかがでしょうか。